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NEW 2024年12月18日 その他
日本財団主催「就労支援フォーラムNIPPON 2024」で法人育成会のデジタル化事業 発表
日本財団主催「就労支援フォーラムNIPPON 2024」が12月14・15日、東京ビッグサイトで開催され、二日目の分科会で法人育成会のデジタル化事業について発表を行った。
同フォーラムでは、障害者就労支援にまつわる様々な課題に取り組むとともに、新たな発想に基づく多彩かつ豊かな実践を紹介しており、今年11年目を迎えた。今回、夏頃に育成会会館でのデジタル化に取り組む利用者の活躍ぶりを見学した日本財団の担当者より、「就労支援フォーラムの分科会をお任せするので、デジタル化事業で活躍している知的障害者への支援についてぜひ話してほしい」とのオファーがあり、法人育成会が発表することとなった。テーマは、「デジタル業務で活躍する知的障害者 ~固定概念を打破したその支援力に学ぶ~」。当日は、デジタル化事業を担当する職員のほか、同事業に参画している利用者の南里光一さん(インクル小倉北)、金澤有佳さん(インクルとばた)が登壇、分科会参加者は200人を超えた。
分科会ではまず、デジタル化事業を導入した令和5年8月から現在までの取り組みを紹介。児童相談所の相談記録のデジタル化が最初の仕事で、知的障害者がスキャンニング、画像検索、KEY入力などのデジタル化の工程に取り組むことができるのかという職員の不安だった当時の気持ちを振り返った。その原因は、職員がデジタル化の具体的な方法について未知であり、その工程が分かっていなかったことによるもので、利用者の能力が原因ではなく、支援者が利用者の可能性を決めつけていたことに気付き、「利用者の可能性を信じて、チーム一丸となって、できないではなく、できるために何をするのかを考え、行動した」と力強く語った。具体的には、「工程の細分化を検討し、複数工程から単工程にすることで個々の得意が生かされ、自信につながった。さらには、複数の工程ができるようになる」「利用者ひとり一人の得手不得手を理解するために、よく観察し、よく会話をしながら、より良い手段を見つかることや小さな失敗や間違いを見逃さず、次の取り組みに生かし、分からないことは何度でも質問し、チャレンジできる環境をつくることが大切である」と説明した。また、利用者がこの事業に主体的に関わっていく中で、意欲的な提案が行われるようになった事例として、髪の毛の混入を防ぐために帽子が必要ではないかという利用者の提案後に帽子を購入したエピソードも紹介。登壇した利用者は、「できなかったことができるようになった時、この仕事に携われてよかったと思った」「難しい仕事ができるようになって嬉しかった」「今後は、大判の仕事、マイクロフィルムなど新しい仕事がしたい」「やったことのない仕事に挑戦したいから、デジタル化の仕事を続けていきたい」と自信に満ちた表情でデジタル化事業について語った。
なお、令和7年度からは国立国会図書館の蔵書などのデジタル化業務が予定されており、さらなる利用者の活躍に期待したい。
(写真左はデジタル化事業について発表した分科会、右は登壇し同事業について語る利用者の南里さん(左)と金澤さん(右))